母校での講演予定だった原稿・・・3
で、先ほどからいっているように私は「イラストレーター」と呼ばれることが多いんですが
実際にイラストの仕事をしているわけですから、間違いはないのだけど
最近、それってどうなのかなぁと思うことが多くなりました。


というのは、私の一番の重要なプレゼンテーションの場が個展なんですけど
個展に出してる作品は、作品であって、イラストじゃないんですよね。


(画像:exhibition)


作品を見て、イラストの仕事が来ます。よく考えると、
今までのイラストの仕事をファイルしたものからはあんまり仕事にはつながってなくて
作品からくるんですよ、不思議なことに。


で、その個展会場の様子はというと
「グループ展なんですか?」という反応も多い。「グループ展じゃないの?」
一人でいろんなテイストの作品を作ってるからなんでしょうね。
「今の気分はこんな感じだな」とか「このイメージはいつものごちゃごちゃより、一色でやったほうが近いかな」
という感覚に沿ってつくっただけで
自然と色々になっちゃった、ってだけ



絵描きとして、テイストが定まってないのをマイナスに捕らえる人もいて、忠告してくれることもありますが
全く気にしてません。今年30歳になるから…血統からいって90歳は軽く生きそうなんで。
うちのおばあさん、去年100になってまだ生きてます笑


ていうか、絵のすごいところってそこで。歩けなくても手と目と頭が生きていれば死ぬまで現役で居られる。
それってすごいことじゃない?最大の魅力だよね。


そのばあさんも個展に来て私にこういいますね「絵で出世しなさい」と。
でも私はそのおばあさんが怖くて・・・100歳のメドゥーサ並みのオーラを背負ってる人でして
近くに寄ると石にされそうなんだよねぇ。




話がそれたけど、とにかく、好きに描いたものが私を外の世界と結び付けれくれています。




イラストって何だと思う?

本の挿絵もそうだし、「野菜の育て方」の図解もそうだし、取扱説明書のそれも全部イラストですよね。
イラストという言葉を、辞書で調べると「説明する」という意味があって
「絵」とは違うんだなぁと思うんです。
たとえば安西水丸さんがその辺の差別化をいろんなところでお話されているんだけども
最近理解できるようになったの。
自分がやってきたことと、イラストということとのギャップは常に感じていたから
喉のつかえが落ちた感じです。他人からどう呼ばれてもいいし、イラストレーターって言ったほうがわかりやすければ気になんないんだけど
自分の中の柱のしての考えは、「ペインター」であり「画家」で居るべきだなと思うようになりました。

いままでいろんな絵の仕事をしたけれど現在はそれも抑え目にして、絵描きとしてのほうに重点を置くようにしています。
イラストも、私の魅力を最大限に生かせるイラストのお仕事にとどめているし
実際そのほうが、クオリティの高い仕事ができてるような気がします。


「また画家とか調子に乗ったことをいっちゃって、夢見てんじゃないよ」とまたいわれそうですが
夢を見ることとは、根拠のない絵空事や単なる寝言とは違います。


今までのことを鑑みても
もうちょっとうまいことやれば、やれるなぁ、って思うんですよね、普通に。



それにどうして「夢をみちゃいけないのか」と思う。高校生ぐらいまでは「夢と希望を持ちなさい」といわれるのに
20代半ばになるとその逆を言われる。
「そんなことできるわけないでしょ」という人が、実際ひとつのことに長い時間をかけて没頭してやってみたことがあるのかは疑問です。
対外やったことのない人がいうと思うんだよね。





この就職難の時期、「仕事に夢を持つな」とよく言われます。
えー、どうしてだろー、と初めぎょっとしましたが、キチンと耳を傾けると、「そうだよなあ」私も納得します。

初めは皆使い物にはならないんです。
だからつべこべ言わずに何にでも使われなさい。それくらいの根性がなくてはどうしてその夢を実現できるんだと
そういうことなのではないかなぁと私は理解しています。

何もできないくせに、つらつら描いた理想をやろうとされても、会社としては困るんですが、って話だよね。



ただし、私のような仕事の場合はちょっと違います。


常に夢を持っていないと仕事にならないんです。夢が無くては成り立ちません。
心に楽しさや余裕を持たせることがとても大切で
その辺は一般企業に勤める人たちとは逆を考えます。
絵のテーマに入り込めずに、イライラしていると、とてもやっていけませんよね。


これもまた大変な話かもしれない。だって「何があっても楽しくしていないと」ダメなんですから・・・。
何時もベストな精神状態をキープすることも大切な仕事です。
ですからストレスはためないようにしているし、不安はなるべく早くに解決するようにするし
生活には気を使っています。

楽しさを追求することも同じぐらい重要ですよ。
逃避するためにある楽しさではなく…徹底して追求してるかも。

本、酒、音楽、写真、舞台、自転車、ネット、旅行。
気分転換も兼ねて、気になること興味のあることは調べたり直接出向いて行ったりしますし
それを絵にする時は、その時に得たイメージを形にできるまで何枚も描きますから。まだ足りないなぁ、もっと動かないとなぁと反省してます。
それでよく恥ずかしい思いや、相手に迷惑をかけてしまうことも度々あるけれど
好奇心は常にフル稼働させるようにしてます。不安が付きまとうのは当たり前ですから、悩みもなるべく早く解決させないといけないし…。


だから退屈なんてしたことない。それが仕事なんです。


今抱えている気持ちは、とてもストレートに、作り手が思う以上に作品に反映されます。
私は、心が病んでいたら仕事ができない。
たまに、能天気ではないシリアスな絵を作ることもあるんですよ。
その世界に入り込むことも当然します。ただ心もドップリ暗いままだと、もう救いようがないじゃないですかw

どんな作品も、第三者の目に触れて初めて存在価値が発生するから、そのためにも心の根っこはいつも明るく過ごしているつもり。
見る人へも、自分へも、優しさを持っていたいというか。それが客観性というのかなって思いますね。
客観性は必要です。



美術科を卒業して広がる職業はそれぞれで幅広く存在しますね。条件やその状況なども様々でしょうが

クリエイティブな仕事に就くなら、どんなときも夢をあきらめずに、夢を見ている状態にしておかないといけないと思います。
どんなに苦しいことがあってもそれを簡単に捨ててはダメなんです本当に。
言い訳したり、妥協もしちゃダメだ。


私は今日まで人にも環境にもとても恵まれてきました。
これからはどうなるかわからない。ひょっとしたら何か致命的なことが起こるとも限りません。絶対なんてないし。
でもこれからはどんなことがあっても、自分をあきらめないし、筆を折ることはしない。
それが周囲への恩返しにもつながっていくから、作ることは辞めないです。




この間、芸森でやってた片岡球子展にいった人います?(挙手させる)

私行ってきました。でさ、最後のほうのビデオ見た????
あれ、いいことおっしゃってましたよ。
「下手でもいい、画家としてやっていくと決めたらトコトン最後までやりなさい。そうすると必ず成功しますからと若い学生達に言うんです。」
正確な言葉は覚えていませんが、その様な事を言ってた。



こうやって、皆さんの前に立ってあれこれしゃべってる私も
やっぱりたまに不安になることがあって、非常に励まされました。タマコがいうんだから間違いない!って。





私は、元気の出るような作品を描きつづけたいです。
信条として「部屋に飾っても見飽きることのない一枚」を多く残せたらいいなと考えているんです。

せっかく生まれてきたんだから、絵で一回きりの大きなチャレンジをしてやろうと思ってます。



何かの機会にもし、「ひとは何のために生きているの」と聞かれたら 私は「自分を好きになっていくため」だと答えます。
それはなんとなく分かったんだよね。
自分を好きになると、人は私に話かけてきてくれる。そして今までやってこれたから。




どうして自分は絵を描くのか、何のために自己表現をするのか。制作をしているうちに、「自分って一体何者なんだ」など
考える時もあると思う。
もっと何か違うことができるはずなのに、と悩むことだってあると思う。

わからないから描くでよいんですよ。わからないからこそ、描く、作る。
わたしだって、自分のことなんて一番自分がよくわかっていないですから。

逆に10年そこそこしかやってないのに、絵を描いていなかったら今の私はいないし
ここに立ってお話なんてしてません。すごいことじゃないですか?19歳20歳の皆さんに自分の話をきかせてがんばれーと言ってるなんて
すごいことなんですよ。責任重大です。今日のことだけを考えても、私、絵を描いていてよかった。


それが将来へ繋がっていくのか?と聞かれたら、そうだと答えたい。かならずつながっていく。


「そういう衝動は人間の本性に従って、おのずから他人との間にかける橋ともなる」三島由紀夫も言ってたよw


もしいまあなたが夢を見てる仕事にそのまま就けなかったとしても
それでもあきらめないでほしい。それに関連した方角へは絶対にいける。そこでも自分のできることはきっとあるはず。
また、美術とは直接関係のないような世界に行こうとしてる人も、お母さんになろうとしている人も
きっとここで今勉強していることが役に立つ。



辞めれば、そこで終わる。皆辞めるから終わる。
本当にやりたい道を、人任せにしないで自分できちんと見つけてくださいね。
たとえ周りに「何考えてんだ」と言われてもどうかあきらめないで。続けていたら、なんとかなります。



あまり気張らずに、長くやっていってください。
自分の産んだ作品を、大切にしてくださいね。それは先にも話したように、皆さん自身でもあるのですからね。
あたしも地道にやっていきます。
海外で作品をアピールすることが今一番の目標です。去年シカゴで売り込みして、今年の初めにニューヨークのグループ展に参加しましたが
まだまだ。
海外だからハクが付くというんじゃなく、どこでもいいから一人でも多くの人に作品を見てもらいたいばっかりなんです。
やりたいこと、たくさんあります。
がんばります。
個展も札幌でやりますからね。その時はぜひいらしてください。





色々お話ししました。
少しでも参考になるところがあれば嬉しいです。
御清聴ありがとうございました。
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by obora | 2010-07-05 23:35
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